自我(私)の誕生#シュタイナー乳幼児教育④

目次

「子どもの時代」の権利 第4号

『託児・保育の環境』~乳幼児教育の課題~

ラング/ピューラー共著  高橋明男訳

これは、ドイツに本部を置く国際ヴァルドルフ(シュタイナー)幼稚園連盟が発行しているシリーズ

「<子ども時代>の権利」(編集:ペーター・ラング)の日本語版第4号です。

この冊子からの抜粋です。




思考の目覚め

幼児の思考は、まだ身体と結びついています。(「身体的思考」)。

感覚が受け取った印象、環境からの刺激の影響を強く受け、まだ大人のような独立した思考のいとなみには至っていない。

幼児期には、思考活動と行為はまだ密接につながり、相互に浸透している。

もう少し後になって、幼稚園や小学校低学年の頃に、子どもの思考は徐々に解放され、

感覚の印象から独立したあり方へ発達していく。

「自我(私)の誕生」

この自由なあり方にいたる道の途中で、「自我(私)の誕生」という中心的な出来事が起こる。

2歳から3歳にかけてー時には1日から2日のうちに、ときには数週間をかけてゆっくりと覆いを剥ぎ取るように
ー子どもは自分自身に対して「私(ボク/わたし)」という一人称で語るようになる。

それともに、子どもは自分自身を認識し、世界との一体感から抜け出す。

「私」がいるところには「あなた」がいる。

「内」と「外」、

「こちら」と「むこう」、

「いま」と「むかし」

そして「未来」が意識されるようになる。

今や子どもは、感覚によって知覚されたものだけでは満足せず、

「なぜ?」「どうして?」という問いかけが始まる。

子どもは自分自身の頭を発達させている。

いわゆる反抗期はその一つの現れ。

この時期に、持続的な記憶も始まり、

個人の創造力としてのファンタジーの力が育つ。

子どもは遊びの中で、このファンタジーの力を用いて、自分の独自の世界をかたちづくっていく。

子どもは、自分の周囲の環境の中に手本となる大人を必要としている。

大人を通して、子どもは人間が意味のある行為をなしうること、

この世界が生きる意味があることを体験していく。

大人の行為の中に、原因と結果、善と悪を経験していく。

従って 子どもには、そのような責任を自覚した大人の存在が必要。

「人間としてのあり方」

生後最初の3年間は、人間自らの「人間としてのあり方」を展開し始める時期だといえる。
行為し、語り、考えることのできる存在として生き始める時期。

しかし、さらに言えば、幼児は初めから社会的な存在。

誕生のずっと前から、胎内の子どもはその濃密さにおいては一度限りのー母親への関係を築き始める。

そして、誕生するとすぐに、赤ちゃんは自分が頼りにできる人が誰かを学ぶ。
自分を保護し、養ってくれる人たちがいること、この人たちは信頼できる、ということを学ぶ。

特に親と子の親密な関係の中で、内的な安心、守られているという感情、不安からの自由が生じる。

しかし、これは子どもの信頼が最初の数年間に裏切られなかった場合。

幼児は複数の人々に対してー多数の人々ではないとしてもー
親子のような直接的な信頼関係を築くことができる。

愛情に満ちた世話とともに、信頼と関係性は長い年月にわたって保たれていく必要がある。

大人たちの課題はー家族の内と外とにかかわらずー子どもの発達を支えること、
子どもの発達のために必要な条件を整えること。

例えばー

ー子どもが守られる環境と十分な時間(ゆとり)

ー動きとリズム

ー言語の育成

ー真実で意味のある行動

ー感覚への刺激

たとえば良質の、ファンタジーを刺激する遊びの素材、空間を美しいかたちと色彩で整えることなど、

その他たくさんの事柄がある。

  

公園で拾ってきた木片に

「私 色ぬるの!」

いま2歳、もうすぐ3歳の私・・・

 

 

お問い合わせ

Makkin Corporationのホームページをご覧いただき、ありがとうございます!
ご質問や、お仕事のご依頼はフォームよりお願い致します。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事