子どもの真似をするという本性 #シュタイナー乳幼児教育②

「子どもの時代」の権利 第4号

『託児・保育の環境』~乳幼児教育の課題~

ラング/ピューラー共著

高橋明男訳

これは、ドイツに本部を置く国際ヴァルドルフ(シュタイナー)幼稚園連盟が発行しているシリーズ「<子ども時代>の権利」(編集:ペーター・ラング)の日本語版第4号です。

この冊子からの抜粋です。

 




歩行の学習

妊娠2ヶ月が過ぎる頃から胎動の動きが確認され、5ヶ月を過ぎると母親にも感じられるようになる。

誕生して間もない赤ん坊は、まだ「普遍運動」の状態にある。

そこで多くの動きがまだ反射的。

口で吸い、からだを起こし、足を動かし、はいはいするのも反射運動。

新生児の眼は、協応できずにそれぞれ勝手に動くことがある。

「多くの新生児は片目だけを動かすことができます。片方の眼は上に、もう一方は横に向く。

あるいは片目は静止したままで、

もう一方の眼だけが下に向くというようなことがあるのです。」

(スターン:William Stern:Psychologie der frühen Kindheit,Quelle&Meyer,Heidelberg1967

誕生からしばらくすると、両目の動きは協応するようになる。

生後12ヶ月を過ぎたあたりから始まる発達過程の中で、からだを起こし、足を動かし、

ハイハイする反射運動はいったん退行する。

子どもは重力に対して能動的で個別的な関係を作り、自分で直立しなければならない。

生後1年で全てが達成できるわけではなく、階段を上がる、飛び跳ねる、走る、

回転する、踊るといった動きをさらに学習しなければならない。

その後も歩き方は変化していく。しかし、決定的な第一歩は踏み出された。

幼い子どもは様々な複雑な動きを身につけていく。

それができるのは、子どもが模倣能力を備えて生まれてくるから。

子どもは「真似する」という本性ゆえに、自分の知覚でできる全ての事柄に対して、強い興味を示す。
さらに、自分が知覚した全てのことを自分でもやってみようとする衝動がある。

だからこそ、大人たちがどのような歩き方をするのか、どのように身体を動かすか、

日常生活の様々な活動をどのように行うかということは、決してどうでも良いことではない。

幼児はそうしたこと全てを模倣しつつ自分の内面に取り込みます。

その時

幼児は外面的な動きを真似るだけでなく、その動きの中に表現された大人たちの心的態度も受容するのです。

静かな動きも、慌ただしい動きも、同じように内面化されます。

他人に対する親切な態度も、不躾な態度や拒絶的な態度も、同じように心に刻みつけられるのです。

今日の大きな問題は、

子どもたちは十分に平衡感覚を働かせ、繊細な運動神経を発達させることができずにいます。

周囲にある仕事は、その仕組みや過程を見通せるものではありません。

自然や四大元素(熱・空気・水・土)に触れる機会もあまりありません。

子ども時代の学習における重要な一歩ー「つかむ」ことから「把握」に至る一歩を逸してしまう。

子どもの運動感覚と言語感覚は密接に関連している。

大脳の中で、運動中枢と言語中枢がそれぞれ近くに位置しているというだけではない。

運動の発達の中でリズムやかたちを生み出すことができた人は、

ことばの発達の中でも比較的容易にリズムと明瞭な「かたち」を見いだすことができる。

 

●「話すこと」の学習に続く・・・

小学生のお姉ちゃんの木に登る姿をみて、自分たちも登りたくなった4歳の男の子たち

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